ストーリーについての細かい解説。


カーテンは閉じられ真っ暗な出木杉の部屋。壁掛けのプロジェクターには絶滅動物の資料の画像が映し出されている。出木杉は映写機と接続されたパソコンの前でひとり立っている。

ブログから転載。

1、絶滅動物についてのついての説明がテレビのドキュメンタリー番組ではなく、出木杉からの夏休み自由研究テーマとしての説明に変更。
まず、最初にオオカミと少女の出会いを幻想的に描いた後に、のび太がテレビ番組を見ているという繋げかたをすると、視聴者に「先ほどのオオカミと女の子の 映像は、現在のび太が見ているテレビの映像だったのか?」という誤解を与えるのを避ける為。そして幻想的なシーンから派手なドキュメンタリー番組に繋げると、先ほどの幻想的な印象が弱くなってしまうので、プロジェクターを用いた簡素なものとすることに。自由研究のテーマということでのび太だけではなく、しずジャイスネにも動物に興味を持たせて次の展開に繋げる狙いもある。

出木杉「毛皮の材料にされたんだよ! 戦争中に飼われてた秋田犬は全部捕まった!」

ブログから転載

2、秋田犬エピソードの追加。
このブログでも最も問題視していたのが、「ぶっちゃけ、子供達は絶滅動物に興味なんか持ってくれるのか?」という点。絶滅動物に対して子供達が感情移入させるということは今作における最重要ポイントと言ってもいい。
これをなんとかする為に「秋田犬は戦争中に毛皮の材料として、飼われていたペットまで強制的に捕獲されて大量に殺された為、絶滅しそうになった」というエピソードを追加した。
一応、捕獲されたのは秋田犬だけではないし、当時の食糧難という背景なども合わせて絶滅しそうになった訳だが、「毛皮の材料という点で殺されたことが絶滅の要因となった」ことは揺るがない事実なのでこれだけでいい。
何故、この話を入れたのか。
まず非常に単純な話、このエピソードは誰が聞いても悲劇、だからだ。100人中100人が酷い話だと受け止めるはずだ。マスターキートンでも言っていたが 「人間同士の殺し合いであるはずの戦争に動物を絡ませると、人はそれを絶対的な悲劇として受け止める」。半強制的に動物は愛護しなくちゃいけないという感情を抱かせて、絶滅動物の話に無理矢理繋げてしまうのだ。
次に、絶滅動物を子供達が見たことがない、という問題を解消するという理由。
見たことがない動物が絶滅したと言ってもピンと来ない。これは自分以外の人間にも少なからずあるはずだ。これを現在でも飼われている秋田犬を用いることで、絶滅動物の問題を考える上での敷居を下げたつもりだ。
そして、冒頭で「犬」の話題を出すことで、人間に殺されたニホンオオカミへの同情へも繋げている。

ドラえもん「ネズミが! ぼくのどら焼きをかじったんだ!」

ブログから転載

3、ドラ焼きが食べられなくなった理由が、ゴキブリからネズミに変更
非常に単純な問題として、ゴキブリのビジュアルが嫌い、という人の為の配慮だ。恐らく、公式サイドもゴキブリ以外のものに変えてくるはず。(公式もモアよ、ドードーよ、からの引き延ばしであるならば)。これによって「ゴキブリは人間が滅んでも大丈夫と言われている」のシーンをショートカット。あまり勉強になるような情報でもないし。ギャグは「ネズミのせいでどら焼きが絶滅したらどうする!」というセリフでなんとかカバー。ネズミを相手にドラえもんを暴れさせて、のび太の「ドラえもーん」に繋ぐ。
実はどのように「ドラえもーん」に繋ごうか結構迷った。「僕は自然を守るぞ! 協力してよドラえもーん」じゃあまりに他力本願すぎるし、原作短編のペースでゴキブリのシーンでドラえもーんと言わせるのも遅すぎる。ここでショートカットさせないとテンポにダレが生じると思った。

ドラえもん「これは失われたモノを取り戻す道具だ。まあ見てなよ。ママがどら焼きを買ってきたのは昼過ぎのハズ……。よし、時刻を本日の昼頃にダイヤルセット! 座標を野比家の戸棚にロックオン! どら焼きをサーチスキャン!」

この辺りの解説をブログより転載

「モアよドードーよ、永遠に」を見ながら文章を書き進めているのですが、原作のタイムホールとタイムトリモチの描写についてちょっとした疑問が。

A ママがゴキブリがたかっているどら焼きを発見する

ママがそれを捨てる。

のび太とドラえもんが悔しがる。

ドラえもんがゴキブリがたかる以前のどら焼きをタイムトリモチで取り上げて、現在の時間で食べる。

B 過去ののび太がこづかいを手に入れる

現在ののび太が、そのこづかいが入った封筒を取り上げる。

過去ののび太がこづかいが無くなったと慌てる。

現在ののび太はまったく儲けになってないと嘆く。

AとB。これを読んでいるあなたは大きな違いがあるのが分かるだろうか?
Aは「どら焼きがゴキブリにたかられる」という事象が書き換えられている。それに対してBは「未来からの介入が既に歴史に組み込まれている」のだ。
だからBに設定が忠実ならばAは「ママがどら焼きを戸棚から出そうと思ったら既に消えていた」でないとおかしいし、Aに忠実なら、Bは現在ののび太は現在プラス過去のこづかいを手にしていないとおかしい、ということになる。
今まで全く気付かなかったちょっとしたことなのだが、道具の設定としてはどちらが正しいのかハッキリさせておきたい所ではある。
まあ、推測でしかないが、恐らくAが基本的な概念になると思われる。失った美術品等を取り戻す為の道具なら、歴史を書き換えるほうがタイムパラドックスが起きにくいはず。

ダイヤルセット! ロックオン! サーチスキャン! と意味もなく叫んでますが、なんとなくカッコイイという理由だけです。人魚大海戦でお座敷釣り堀が海の場所を特定する場面で「ACCESS・・・・」という表示が出るのがカッコイイという意見を聞いたので。
ジャイアンがプラモを取り上げるシーンは、このシナリオだと最初に絶滅動物を救おうとしている、「いい奴」になっているのでセリフのみの描写に。先ほどのAとBの話からこづかいが消えるシーンもカット。歴史的な人物から取り上げようとするシーンもカット。ドラえもん映画の対象年齢としては低年齢の子もたくさん見にくるわけです。豊臣秀吉、ナポレオンってダレ? って子供も多いはずなんです。ここでのび太は知ってるのに自分にはよくわからない、という観客との距離が離れるようなことは避けたいのでカット。
ニホンアシカとニホンカワウソは絶滅動物としてまだ認められていませんが(最終目撃から50年経っていないと絶滅したとは認められない)既に30年経っていることからほぼ絶滅したと考えられています。
実は、最初の漫画雑誌のシーン、のび太がタイムホールとトリモチで何をしようか大分迷いました。出来る限り面白い使い方をしたかったのです。
例えば、舞台が夏として、「去年の冬から雪をトリモチで持ってくる。部屋の冷房代わりになって快適!」というのも考えました。しかし雪がトリモチに付くのか? と思い直して諦めました。捨てられる、よりかは壊れる、ほうがより身近に感じると思って、「のび太が自分でボッキリと折ってしまったプラモを過去の時間から取り戻す」というのも考えましたが、それじゃあ過去の「プラモが消えた世界ののび太」はどうなる? 消えたまま? と考えるとすっきりしないのでやめました。

補足。4月当時はニホンカワウソも連れてくる予定でしたが、「カワウソのび太の大冒険」(5月27日放送)でカワウソは絶滅していない、カワウソの楽園が現在でも存在する。ということになってしまったので、カワウソはカットされました。

ドラえもん「大物だ! ひっぱるぞー! いっせーの!」
のび太とドラえもんが声に合わせて引っ張ると、見る者を圧倒する大きさのジャイアントモアがのび太の部屋に入り込む!

大山版ではこのシーンをのび太とドラえもんだけで引っ張りあげるのは無理と思ったのか「スーパー手袋」を使用していますが、このシナリオではケガをしてフラフラしている状況なので、のび太とドラえもんの力だけで引っ張ることに。

ドラえもん「次はニホンアシカか。トリモチじゃ水中の動物は捕まえられないんだ。ぼくが直接行ってくる!」
原作ではこのシーンで捕まえるのはオジロヌーですが、実はオジロヌーは地球上から姿を消したわけではありません。野生のオジロヌーは絶滅してしまいましたが、農場に棲みついていたのを増やすことに成功しており、現在3500頭以上もいるので、既に絶滅は免れたと考えられています。日本でも伊豆半島で飼育されているそうです。(参考 東京堂出版 絶滅野生動物の事典)

静香「キャー!」
静香が思わず投げつけた皿が部屋の窓ガラスをぶち抜いて割られる。


ブログより転載

まずリョコウバトではなく、ゴクラクインコを外に連れ出したのび太が学者に見つかった際に、出木杉が学校の裏山まで案内してしまい、そのことでニュースの内容も「絶滅動物を発見した野比のび太くん」となり、群衆がのび太の部屋まで一気に詰めかけるという派手な展開に。ジャイアンやスネ夫もそこで活躍。ついでにしょうもないギャグも追加。
モアが暴れたシーンの道具は、ももたろう印のきびだんごではなく、平和アンテナに変更。
理由は原作漫画で ももたろう印のきびだんごの効果切れて動物達が騒ぎ出すというところが、このシナリオでは微妙に合わないということ。のび太はモアのケガを治療してやったので、その上で騒ぎ立ててても困る。それとのび太の恐竜、あるいは恐竜2006できびだんごの効果は最低でも数日間は続いているのに関わらず、数時間で効果が薄まるというのもおかしいと思ったので。
更に一番重要なのが、のび太とモアが仲良くなったのが「ももたろう印のきびだんご」のおかげというのを避ける為。平和アンテナなら一時的な効果に過ぎないけど、事実上洗脳に近いきびだんごは避けたい。無論、平和アンテナさえあればなんでも平和に物事が解決してしまうので、スイッチ入れっぱなしにしたせいで平和アンテナを電池切れにして、騒ぎ立てる群衆を止めることが出来ないという展開で序盤から捨て去ることに。「あれほど節電しろって言ってただろ!」と時事ネタも追加。

ドラえもん「ええい、「立体映写機」と「温泉ロープ」!」
ここの展開は、22巻「温泉ロープでいい湯だな」と6巻の「温泉旅行」の女装オチを参考。

ドラえもん「人間が自然を守ろうとして、かえって状況を悪くなってしまったことはたくさんあるんだよ」
例を挙げると、日光の鹿を餓死させぬように餌付けをしたら、逆に増え続けてしまい、尾瀬にまで鹿が侵入してしまったという状況など。

ドラミ「任せといて、お兄ちゃん!」
ドラえもんはタイム電話の電源を切った。

ドラミ登場の理由はあとがき参照。
ドラミとの連絡手段が「タイム電話」なのは人魚大海戦から。

ドラえもん「透明バリアをたくさん用意してほしいって頼んでたんだ」
のび太「なにそれ?」
ドラえもん「島を見えなくする道具だよ。これを島のまわりに置くことで全体を透明にするんだ」

大山版「モアよドードーよ永遠に」のみに登場する、恐らくアニメオリジナルの道具。
光を散らす効果があり設置されたバリアから距離を置くと、透明になって見えなくなる。
大山版では島の完成後に外側に向けてあちこちにセットしておくことで、原作よりも万全の態勢にしてました。

佐渡島のトキの繁殖だって30年以上もかかっているんだよ
自分が佐渡島のトキ繁殖について調べた限り、あんまり大きな成果を上げているようには見えなかったんですが、それを言うのも流石に失礼なんで「繁殖に成功している」とも「繁殖に失敗している」とも言わず、微妙な表現に抑えています。

ジャイアン「おれたちの名前からジ、ノ、シ、ス、ド、ジノシスドってのはどうだ?」
微妙な語感ですが、名前のくだらなさがドラえもんっぽいかなと思ってます。

森の茂みから勢いよく飛び出したのは、オオカミの集団だった。一目散に駆け寄ってくる。
赤の旅団ですが、基本的にオオカミが他の絶滅動物よりも多数存在しているという設定です。
ニホンオオカミに限らず、地球上に生息するオオカミの全てが、絶滅の危機にあると言っても過言ではないほど、人間の手によって数を減らし続けています。

巨大オオカミ「水底に根が付いていない浮遊性の水草だ。葉の浮き袋が成長を続け、植物や動物達が暮らせる島となったのだ」
マングローブのように、ひとつの植物にさまざまな生物が棲みついているイメージです。

スネ夫「これは、まさか、中ノ鳥島!?」
「キャラクター」の項目参照。

ローマ神殿のようなアーチ型の建築形式ではなく、サクラダファミリアのようにどこか自然を感じさせる放射線状の建築形式となっている。
サクラダファミリア内部
http://4travel.jp/traveler/rietaishobcn/album/10540921/

巨大オオカミ「私の名前はリキ。かつて、ニホンオオカミだったものだ」
スネ夫「ニホンオオカミだって!? 絶滅したはずだろ!?」
ジャイアン「それに、お前のようなデカいオオカミがいるか!」

「オオカミ一家」でドラえもんとのび太はニホンオオカミは絶滅していないことを知っているわけですが、ジャイアンとスネ夫は知らないはずです。セリフで追求するのはこの二人のみで。
絵的にはドラえもん、のび太はニホンオオカミが巨大化したことに驚いている様子、ジャイスネはニホンオオカミが存在していたことに驚いている様子で、結局絵的には5人全員が目を丸くして驚いているという感じです。

のび太「バーバリライオンとカスピトラだ!」
バーバリライオン どの亜種より大きいライオン。1922年に絶滅? と思われたが2007年には1頭現存している?(未確定)
Wikipediaの解説ページ
カスピトラ 別名ペルシャトラ。1974年に絶滅。アムールトラと同一とされるが、そのアムールトラも絶滅の危機にある。
Wikipediaの解説ページ

爆弾は本体に火が届き、神殿内部は轟音と共に真っ白な光に包まれ、島全体まで煙と共に衝撃波が広がった。
こけおどし爆弾にしては派手過ぎですが、デカイ爆弾で高性能タイプという設定で。ギャグシーンなので派手にドカンと。

ドラえもんは透明バリアを取り出すと実演するかのように透明になってみせた。
ここは大山版「モアよドードーよ永遠に」で同様に実演するシーンがあります。

エルザ「知っているか? お前達の住む日本の水草は、既に40パーセント以上が絶滅の危機にある! 復讐を誓うのは動物だけではない、この島の植物も望んでいるのだ!」
40パーセントが絶滅の危機にある、というのは下記の水元公園の講演会告知ページから。
http://www.tokyo-park.or.jp/event_search/detail/e_search_dt000846.html

スネ夫「でも笛の音だけで100年間も生きたり、オオカミがでっかくなったりする?」
このあたりのことは「キャラクター」の項目参照。

ジャイアン「そんじゃ、この島の植物にはおれさまの愛の調べを毎日聞かせてやろう!」
愛の調べというフレーズが後のエルザの母親の愛情で奇跡を起こしていたという伏線にしたつもりですが、微妙ですかね。

のび太「……それに、ぼくらが動物たちに銃を向けたら、絶滅させた人間達と変わらないじゃないか」
敵を「絶滅動物そのもの」とした時から、どうしようか考えたこの問題。結局「銃と刃物がダメなら、殴ればいい」ということに。

ジャイアン「やろう! オオカミに人間がなめられてたまるかーっ!」
ジャイアンはひとりで素手のまま飛び出してしまった!

ひとりで飛び出すのは大魔境・海底鬼岩城など。ここからの大暴れは大魔境のリベンジ。

ドラえもん「パワー手袋といなずまソックスだ! マシンガンのようなゲンコツの雨を降らせてこいっ!!」
大全集1巻「けんかマシン」より。
いなずまソックスが「相手のパンチをかわし、す早くふみこんで、マシンガンのようにげんこつの雨をふらせる」。パワー手袋は「ゴリラをいちころでしとめる」ことが可能。

スネ夫「オーロックス!? 人でも獣でも容赦なく串刺しにした絶滅動物だぞ!?」
東京堂出版 絶滅野生動物の事典によると「角の力がたいへん強く、走るのもひじょうに速く、見つけたものは人であろうと獣であろうと容赦はしない」と言われていたそうです。
Wikipediaの解説ページ

のび太「チェストー!」
のび太はそれを真正面から必殺のパンチを決めた!

わかる人にだけ言っておくと、イメージしているのはストリートファイターのまことの「突進正拳突き・疾風」。

のび太「ホアチャーッ!」
てんコミ6巻収録「ドラえもん百科 すばらしい道具のいろいろ」にて、「パワー手袋」が「ブルース・リーに負けない強さになれる」とあったので。「チェストー!」と統一性がまるで無いですが、まあ、のび太ですし。
どうせなら「ド呀ーーッ」のほうが良かったですかね?

カムチャッカオオヒグマ
1920年に絶滅。体重は最大で655.2kgのものもいたとされ、ヒグマの中でも最大級の亜種であった。
Wikipediaの解説ページ

アラビアオリックス
数は1000頭まで減ったものの絶滅はしていない。ユニコーンのモデルになったと言われている。
Wikipediaの解説ページ

フクロオオカミ
1936年に絶滅。背中にトラのような模様があるのと、有袋類であることが特徴。
Wikipediaの解説ページ

フォークランドオオカミ
オオカミという名前だが、キツネ類に分類される。1876年に絶滅。
フォークランドオオカミの解説ページ

ドラえもん「『ナゲーなげなわ』!! ハイヤーッ!」
てんコミ16巻。自動で縄が伸び、特定の物を捕らえる道具で、流石に島全体を捕らえるのは無茶があるとは思うんですけど、22世紀の道具だから、繋ぎ止めておくことくらいは出来ると思います。

ジャイアン「ウ!? ウーーッ……」
しかし、顔が真っ青になり、倒れてしまった。
ドラえもん「あーあ、スーパー手袋を着けて自分の胸を叩くから……」

小学館発行 ビックコロタン 「ドラえもん ひみつ大事典」より「スーパー手袋」からネタを借用。

エルザ「今からちょうど100年前の1912年、私は母親に捨てられたの、この大好きだった笛だけ持たされてね」
バックストーリーとしては、「母親がエルザに毒を飲ませ、動かなくなったエルザを袋に入れ、最後の愛情として笛を一緒に入れ、川へ投げ入れた」という設定。流石に本編でそれを言わせるのは無理がありますね。

エルザ「そして、貴族のペットだったニホンオオカミのリキと出会った」
ニホンオオカミが海を渡ってイギリス人のペットになるのはまるで真実味が無さそうな話に思われるかもしれませんが、1905年の最後に確認されているニホンオオカミはイギリスからやってきたアメリカ人、マルコム・アンダーソンが金を出して買った死体です。オランダの王立博物館や大英博物館にはシーボルトが採集したニホンオオカミの剥製があり、それを見ていたアンダーソンが日本にやって来た際にどうしてもニホンオオカミを欲しがったというエピソードが野生動物の事典に紹介されています。ニホンオオカミ(ヤマイヌ)は外国人の興味を惹きつけるものだったのかもしれません。

ドラえもん「きみの奇跡は、復讐の心が生んだと思っているみたいだけど、ぼくは違うと思うな」
エルザ「ど、どういうこと……?」

この時、既にドラえもんは母親の愛情で奇跡が起きていると分かっています。
子守ロボットなので勘で分かったんでしょう。

のび太「ねえ、パンにメンチカツ挟むとおいしいよ!」
ジャイアン「ンマーイ!」

藤子不二雄A先生の「まんが道」で藤子両先生がトキワ荘に向かった際にテラさん(寺田 ヒロオ)から教えてもらった食べ方です。藤子ファンにはおなじみですね。

スネ夫「でも、今の人間って頭蓋骨とかがサルの子供の形に似ているんだ。つまりサルが子供の姿のまま人間へと成長したって説があるんだ。こういう現象をネオテニーという」
幼形成熟の説明としてはやや説明不足かもしれませんが、これ以上はややこしくなるだけなので。

静香「そうね。もしかして、エルザが大人にならないのは子供のままでいたいからじゃない?」
エルザ「そ、そんなんじゃないわ! 私は自分を捨てた親のような大人になりたくないだけよ!」

ピーター・パンは親から捨てられたのではなく、「親から赤ちゃんのうちに将来を嘱望されたことが、自分のことを私物化しようとしているように受け取って、親から逃げるように自分からティンカー・ベルの力を借りてネバーランドに向かった」という話です。
ただ、大人になりたくない理由として、「親のような大人になりたくない」と言ってます。

横たわる猛獣達は、穏やかにエルザを見つめていた。
エルザ「もう、あの人間達を許してしまったの? 傷つけられたのに、優しくされたら許すなんてね。もう復讐も止めてしまうつもり?」

「刃物や銃はダメで、殴るのはいいのかよ!」というツッコミを、「まあ、殴られた動物達は許してるみたいだし」ということでなんとかフォロー……出来ているのだろうか?

上空に飛んだ、ドラえもん達はポケットから「空気クレヨン」を持つ。
5人はクレヨンで空気に巨大な目玉の模様を描いていく。
そして、空気に巨大な目玉の絵が描き出された。

クレヨンで描いたのだから、普通に考えれば遠目からじゃ見えないはずなので、描いた後に線が光り出すとか、大きくアニメーションさせるなどして説得力を出すべきかと。

ジャイアン「猛獣さそいよせマントとひらりマントを貸せ!」
ドラえもん「はい!」

この辺は完全に大魔境を意識しています。

ドラえもん「いや、その心意気を買おう! 『ハッスルねじ巻き』!」
11巻、24巻など。「ハッスルねじ巻き」の表記に関してはウィキペディアの「ドラえもんのひみつ道具(ハッスルねじ巻き)」を参照。まあ、こんな形でしかドードーの活躍の場は無いかな……。

静香「『ゾウ印口べに』!」
プラス1巻。本家では静香ちゃんがジャイアンとスネ夫をこらしめるために使用。
ちなみに本物のゾウの鼻は筋肉の固まりで出来ており、鼻で500キロの物を持ち上げることが可能。
その万能性から最強道具のひとつの気がする。

リキ「ならば、試すか? どちらの想いが強いのか」
のび太は、切り刻まれたグローブをリキの足下に投げつける。リキの口元がつり上がる。

どちらかというと流れ的にはリキがのび太に決闘を申し込んだので、申し込まれた方ののび太が手袋を投げるのは若干おかしいですが、まあ、のび太だし。

スネ夫「あいこグローブって?」
ドラえもん「相手の実力と同じになるグローブだよ。想いの強い方が勝つ!」
てんコミ43巻「男は決心!」本家では「気力」の大きさで勝負が決まる。まあ想いも気力も意味合いはそう変わらないかと。

のび太「人間の想いで……」
リキ「復讐の執念で……」

のび太・リキ「お前に、勝つ!!」

この決闘がクライマックス。盛り上げようと考えた結果、ドラえもんらしくないんですけど言葉を合わせてスタートという形で。ここからのバトルは38巻「石器時代のホテル」でののび太VSサーベルタイガーの1コマを意識しています。

のび太のアッパーがリキの顔面にヒット、リキの顎が跳ね上がる。
体が宙を飛ばない程度の昇竜拳。

リキ「フン!」
リキは平手打ちのように前足を振り回し、それを喰らったのび太は錐揉み回転で吹っ飛ばされる。

キャラが攻撃喰らって、きりもみ回転で吹っ飛ばされるのは格闘ゲームで良く見る光景です。スト4とかGGとか。

気がつけば、目前までリキの牙が迫っていた。
のび太「くっ!」
のび太はリキの口を必死に抑え、なんとかその場から逃げる。

38巻「石器時代のホテル」のあのコマを意識。

猛獣達「ウオオオオオオオオオオオ!!」
二人の死闘に観客達は狂熱的に声を張り上げる!

THE KING OF FIGHTERS XIIIの「なんかやたらと盛り上がっている背景の人達」をイメージ

リキ「……フ、フハハハ! もう誰も私を止められない!」
このセリフらへんはME君が作ってくれた動画を参考にしています。

のび太「……だって、ぼくは、人間にいじめられてた君たちの気持ちが、わかるから……」
リキ「……」
のび太「ぼくが一番、知ってるから、さ」
のび太は、ボロボロになりながらも笑ってみせた。

「そもそも何でのび太が決闘しているんだ? 島を作ったのはドラえもんだし、ゾウ印口ベニの静香ちゃんかジャイアンの方が戦力があるんじゃね?」というツッコミをのび太が戦う理由を語ってなんとか回避。

のび太とリキの振り回した拳が激突する!
リキ「ぐああっ!」

どうでもいいんですけど、犬は肉球を突っつかれたりすると物凄く痛がるので、よいこのみんなはペットをいじめないでね!

のび太「うおおおっ!!」
のび太のアッパーが、リキの顎を下から殴り上げ、リキの体は派手に宙へ吹き飛び、そして倒れた。
シン……と場は静まりかえる。

スト4リュウの最初の一撃の無い「滅・昇竜拳」。相手の顎に拳を宛がい、派手に上空へと吹っ飛ばす。騒がしい場が突如静まりかえるのも、BGMがストップするゲームの演出から。

リキは倒れたまま、爽やかな微笑を浮かべながら、呟いた。
リキ「私の、負け、だ」

死んだと思われても困るので、セリフを呟くことに。
男達が死闘を繰り広げたのちに、「爽やかな微笑を浮かべる」のはプロゴルファー猿の猿VS竜から。プロ猿はA先生だけど。

のび太「エルザ、ぼくは君に負けないくらいの奇跡を起こせたかな?」
エルザ「……ええ!」

キザ過ぎるますけど、なんとかここで「のび太が勝ったのは人間の想いで起こした奇跡」ということを言わせないと後が続かない。
まあ、ヒーローは何を言っても許されるんじゃないかと。

『ナゲーなげなわ』は外され、その後に『ゴーゴーカザグルマ』を取り付けられたリキの島は楽園島から猛スピードで離れていく。
ゴーゴーカザグルマは創世日記から。
結局爆発するタイミングはいつだったのかというと、リキは島を爆発させぬようにコントロールしていたので、決闘している間はまだまだ何時間も余裕がありました。ところがコントロールしているリキをのび太が殴り倒したため、急速に爆発のタイミングが早まったということです。

エルザ「奇跡って、人間の優しい想いが起こすものなのね。笛の力は私の復讐の願いじゃない。ママだったのよ」
のび太「……」
エルザ「ママは私を捨てたけど、最後にこの笛を持たせてくれた。これはね、母親としての最後の愛情だったのよ」
エルザ「たったそれだけの愛情だったけど、ママの優しい想いは私に奇跡を授けてくれてたんだわ」
エルザは軽く笑った。
最初からこの結論を目指していたんですけど、やっぱりややこしい話ですねー。
もうちょっと伏線張って説得力を持たせたかったんですけど、いかんせん尺がもう無いんですよ。
ちなみにリキもこのことに気付いています。だからわざと負けたんでしょう。

ドラえもん「君はわざとのび太くんに負けてくれたんでしょ?」
リキ「……バカを言うな。私はあの少年の想いに負けた。それだけだ」

わざと負けたという事実に、応援していた子供達はガッカリしそうで、語らせるかどうか物凄く迷ったんですが、かなりぼやかして語ることに。ラストのアッパーはわざと喰らったんですね。ラスボスがドラえもん達にわざと負けるという展開は他に例がありません。

リキは叫んだ。
リキ「子供達よ! お前達の世界が、100年後には楽園になっていることを願っているぞ!」

子供達は、空気クレヨンで大空に「まかせて!」と描き、彼方へと飛び立っていった。


決闘からラストまでの流れは、何通りも考えたんですが、一番爽やかな方向で。
エスパー魔美の「サマードッグ」のように、少し悲壮感を漂わせるような終わらせかたも考えました。
エルザの笛の力をもう授かることが出来ないリキは、もう後先長くないんですが、ドラえもんからオオカミの群れは22世紀にもいると聞いて「私が最後のニホンオオカミじゃなくて良かった……これで安心して死ねる」と言わせるとか。
決闘シーン後も、「ハッスルねじ巻きを巻きすぎたせいで、ドードーは自分が制御できなくなり、爆発寸前の島に取り残されてしまう。のび太とリキはそれを助けに向かうが間に合わず、大爆発したが、帰ってこない。ドラえもん達に絶望が支配するが、気絶したのび太とドードー鳥を乗せリキが海から顔を覗かせ、ドラえもん達は歓喜する」という展開も考えましたが、尺が足りないのと、決闘シーン後にダラダラやるのは好ましいことではないことが新宇宙開拓史を見てて思ったことなんで、止めました。
一応、もう2度と会えないという展開では無いので、このままだとオオカミ達に弱い動物が食べられまくるという展開にはなりません。ドラえもんが新たな島を作るとかしてなんとかします。まあ、リキもいるし、その辺は大丈夫でしょう。

各種設定について

リキ……
名前は南極物語の、リーダーの犬の名前から。
額に星のような傷はエスパー魔美の「サマードック」のチビそのまんまですね。

エルザ……
もうわかってると思いますが、のび太の恐竜の元となった「野生のエルザ」から。
キャラデザインはSF短編ミノタウロスの皿のミノアと、衣装は「映画21エモン 宇宙いけ! 裸足のプリンセス」のファナをなんとなく参考にしています。
ブログに載せた設定画は何故かどっかの魔法少女の生首が描かれていますが、あれはタダの落書きです。

青と赤の旗デザインは、自分が持っている素材集から適当に加工して作りました。

シナリオ本編へ

あとがきへ



ここは「2012年映画ドラえもんを勝手に自作するブログ http://blog.livedoor.jp/doraeiga2012/」の情報をまとめるサイトです。
公式ドラえもん関係各社とは何の関係もありません。


※こどものかたへ!
このサイトはニセモノだよ! テレビでやってるドラえもんや、らいねんのえいがでこうかいされる「のび太と奇跡の島」とはなにもかんけいないよ!